泣きたい時は泣けばいい。

人は簡単にこういうことを言うけれど、こんな事は無理だ。

泣きたい時に泣いて

笑いたいときに笑って

怒りたいときに怒っていると、完璧な笑顔を作れなくなる。

笑顔という名の仮面を被るからあたしがいる。


男は笑わなくてもいいかもしれない。

女は笑ってなくちゃ。


昔、誰かが言った。

誰が決めたのだろう?

そんな事を言われる筋合いも何も無いのに。





「リボーンはどう思う?」

「・・・何がだ」

「女は笑ってなくちゃいけないと思う?」


カウンター越しにいる貴方に問うこの問題。

貴方は何と答える?


「別に勝手じゃねーのか?」

「ははは、そう言うと思ったよ」


彼から返ってきた答えは自分が予想していたものと変わらない。

彼はそういう人間だ。


「あのさ・・・ピュアラブなんて頼んでないんだけど・・・」

「奢りだ」

「こんな甘いの飲めないよ」

「はっ、コレでも飲んで初恋でも思い出すんだな」

「初恋ねぇ」



目の前のグラスに注がれた透き通ったピンク色の液体。

流石リボーンというべきか、綺麗に混ざってある。


「リボーンは初恋。覚えてる?」

「俺が覚えてるわけねーだろ」

「初恋を経験してない。の間違いでしょ」

「恋なんてなぁ邪魔なんだよ」

「酷い言い様ね。まるで、自分が一人で生きていけるみたい」

「一人で生きていけるだろ」

「無理よ。人は誰かに依存しているから生きていけるの」


一口、カクテルを口に含む。

甘酸っぱい。

初恋のような味とはよく言ったものだ。


も誰かに依存してるのか?」

「もちろん。えっと、綱吉でしょリボーンでしょ隣の家のおばさんでしょ?」

指折り数えながら名前を挙げていく。

「多いな」

「だって、あたしだもん」

「意味わかんねーよ」

「でも、1番依存してるのはリボーンかなぁ」

「俺か?」

「うん」

「俺もかもな」

「そっか。依存しあう関係…なんていうか知ってる?」



恋人



って言うんだよ?


笑ってそう答えるとリボーンはこう言った。

「そうか」

たった一言返ってきた言葉。


「リボーンの前ではあたし笑顔じゃなくても楽だなぁ」

「依存し合ってるからだろ?」

ニヤリと不敵に笑う。

本当に、自意識過剰だ。

「貴方の事が好きよ、リボーン」



返事は無くていい。

傷つきたくないから。

貴方は元ホストのバーテンダー。

あたしは、沢山いるfanの1人。

貴方の1番にならせろなんて言わない。

じゃあ、沢山いるfanの中で1番でいさせて?


今日も仮面を被って
(貴方の中では誰が1番?)
(あたしの中では貴方がいつも1番よ)