人気のない路地。
あちらこちらで無造作に、妖しく光るネオンがチカチカと眩しい。
あたしはついさっき思いついたことを実行するべく、にやける顔を隠しながら、
隣を歩く彼の腕にしゅるりと絡みついた

「ねえ恭弥。今日は行きたいところがあるの」
「…どこだい?のためならイタリアでもどこへでも行ってあげるよ」

普段甘えることの無いあたしが甘えたので機嫌を良くしたのか、恭弥はそう言って微笑んだ
この人あたしにベタぼれだからね!(←)

「あ、そう?ありがとう!あのね、ESTRANEOなんだけ 「僕の店に行こうか」

あたしが言い終わらないうちに、恭弥が口を挟んだ。予想通りだけど。
そう、あたしが思いついたのは恭弥とESTRANEOに行く(そして骸と共に恭弥をいじめる)ということ。

「イ・ヤ!今どこへでも行くって言ったじゃない」

そう言ってキッと睨みつける
恭弥はぐっと言葉を詰まらせながらも、壁にあたしを追い詰め、顎に手をやった
固定し、息が触れ合うくらいまで顔を近づけてくる

「咬み殺すよ」
「できるならね」

にやり、と今度は隠さず笑ってやった。
恭弥は少し不機嫌な顔をしたかと思うと、咬みつくようにキスをしてきた。
( これ、あたしがせがんだんじゃないから追加料金払わなくていいよねー… )
そんなことを思いながら、恭弥の唇を堪能する
薄い、少し乾いた唇が、今はあたしと恭弥2人の唾液が混ざり合ったものがてらてらと妖しく輝いてる
ぞくん、と下腹部にきた疼きを無視しながら、恭弥の下半身に手をやる
驚く恭弥に気づかないふりをしながら、彼のそこをズボン越しに軽く摩った

「っ、」

恭弥の体が少しだけ、揺れた。同時に、切なげな表情を浮かべる。一瞬でそれは消えさったけれど。
自分が劣勢なのに気づいているんだろう、優勢に立つべく彼のキスがさらに濃いものとなった
顎で固定されていた手が、滑るように降りてゆく。けれど―――

どんっ!

あたしは、恭弥の胸を強く押し、体を離した。

「…なに、」
「何しようとしてんのかなあ?恭弥」
「誘ったのは、キミでしょ?したいんだろう?」

恭弥がニ、と口角を吊り上げる。…うん、引きつってるよ、顔。
したいのはアンタでしょ、と言いかけたけれど言葉を飲み込み、あたしは再び恭弥に腕を絡めた

「ESTRANEOに行ってくれたら、続き してもいいわ」
「…行かない。それに、それだと僕が求めてるみたいじゃない」
「違うの?」
「っ…、

ニヤリ、と意地の悪い笑みを湛えて恭弥の下半身を見下ろすようにする ( ああ、うん 予想通りなことになってるよ )
恭弥は図星だとでも言うように、少し頬を染めながらもあたしを強く睨みつけてきた

「で、どうするの?」

その視線さえも軽く受け流し、余裕の態度で恭弥に問いかける
きっと、恭弥のプライドは悲鳴を上げているだろう。でも、彼の体の方が、切羽詰っている。だから、


「…少しだけだよ」


勝った!!!

その時のあたしの笑みを見て、恭弥はとても後悔したような表情を浮かべていました。


そしてその後、半ば無理矢理ESTRANEOに恭弥と共に訪れた。
骸が笑顔であたしを迎える、が 恭弥の姿を見てその笑みはより一層深くなり、そして妖しくなった。
そしてあたしと骸2人で実は純情な恭弥を下ネタで言葉攻めしたのでした。(恭弥が嫌がるワケはコレね)

ESTRANEOを出たあとは約束(?)通りホテルへ向かいましたとさ。
( …ベッドでだけは、やっぱりS度は恭弥に負けるんだよね〜… )


そしてすべてを終えてから、やっと恭弥はVONGOLAに出勤しましたとさ。(あたしと同伴ってカタチで)
…同伴でも遅すぎる出勤に、現ナンバーワンの、実は腹黒なんです!なツナに笑顔で責められてたけどね…






あなたとわたしと戯心
( まあ、また今度お店行った時は大奮発するから許してよ! )